エロバナ~エロいお話し~

非日常的なエッチな体験談・官能小説を集めて配信しています。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--/--/-- --:-- スポンサー広告 | コメント(-)

若奥様、もういいかげん

 人間、外見から精神状態を見極めるのはむずかしい。朝10時の羽田空港から、30すぎくらい和服の女性がタクシーに乗ってきた。20年トライバーをやっているベテランのⅠさんも「おっ」と思うくらいの日本的な美人。
行き先は世田谷区のS神社。おっとりとした上品な若奥様風である。だがタクシーが神社に近づくと、だんだん様子がおかしくなってきた「もうちょっと先」いわれるままに、車を走らせてもなかなか目的地に着かない「お客さん、場所がわからないんですか?」Iさんが聞くと彼女は憤然となった。

「わかるわよ。うちなんだから。もうちょっと先行って」

上品な若奥様なんてとんでもない。その口調は完全な酔っぱらい。しかも午前から飲んでいる様子。だがⅠさんは彼女のいう「もうちょっと先」に従うしかない。れを繰り返している間に車は環状8号線に出た。

でも彼女がいうのは、やはり「もうちょっと先」しばらく走る東名高速入り口が見えた。すると彼女、何を思ったのか「あれに乗って」(どうなるんだ?)

Iさんはヒヤヒヤしながら、高速道路に入った。川崎、横浜、ときても彼女は「もうちょっと先」をいい続ける。厚木を経て大井松田を抜けついにタクシーは御殿場まできてしまった「お客さん、そろそろ酔いも覚めたんじゃないですか?」

Ⅰさんが優しく聞くと後ろの彼女、うなずいてやっと「高速、降りて」といった。そしておとなしく東京に戻るのかと思いきや「お寿司が食べたい運転手さん、おごるからつきあって」

妙なことを頼んでくる。Ⅰさん、おなかも空いていることだし「いいですよ」と承知した。彼女は何もいわずに寿司を食べ、勘定を払って店を出た。さすがにこれで帰るだろうと、Ⅰさんがタクシーに戻ったとたん、彼女がスッーと腕に手を回してきた

「ねえホテルない?行きましょうよ」場所は御殿場、あたりはホテルだらけだ。Ⅰさんだってオトコである。だがこの手の据え膳は食ったあとがコワイ。

彼は、思いきり落ち着いた声でさとした「からかうのもいいかげんにしてください。もう帰りましょう」すると彼女、急にしゅんとなり、おとなしくタクシーに乗り込んで行った。その帰り道、彼女がポッリ、ポッリと話すのを聞いたⅠさん、やっとこのナゾの行動が理解できた。

実はその彼女は〝愛人さん”大阪にいるダンナを訪ねて行ったが、奥さんが放してくれないらしく東京に帰された。それがくやしくてたまらない。お酒を飲んでウサを晴らそうとしたが、おさまらない。そこであてつけに浮気してやろうと思ったとか。

東京に着いて、今度はちゃんとS神社で降りた彼女、最後にしみじみとこう語った「運転手さんがマジメな人だったから、あたしもバカなことをしなくてすんだのね」往復5万円強の料金を払った彼女のサイフは、ヴィトンの男物。

その中にぎっしりお札も入ってる。どうやらダンナは、相当の金持ちの様子だ。どうりでこんな美人を愛人にできるわけである。

「あまりヤケを起こさないで、自分を大切にしてくださいよ」Ⅰさんも、先生か兄のように答えたが(やっぱり、ちょっと惜しかったかな)と複雑な心境になってしまったのだった。








関連記事
2016/01/24 01:08 未分類 | コメント(0)
コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
この記事のトラックバックURL



検索フォーム
QRコード
QR
フリーエリア